マリオネットの国

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マリオネット、いわゆる糸操り人形。

この国で生まれたものは、この世に命を受けたその時から、両手足と頭、さらには背中にもピアノ線が埋め込まれている。
僕らが自分の意志で動いていると感じている一挙手一投足も、きっと空の彼方にいる誰かが操作しているのだろう。

生命は自身と同レベルの世界しか認識できない。上位生命体の存在を考察することは出来ても、存在を証明することは不可能だ。

朝起きる、仕事に励み、友人と語らい、ベッドで1日を終える。
僕らが繰り返す毎日は平坦で、きっと、この人形劇の作家はセンスが乏しいのだろう。

僕が全ての演出プランを考えられるなら、もっと波乱万丈なシナリオにするのに、と上位生命体の演出家を貶してみる。

さぁ、また新しい1日が始まる。
難しいことは学者に任せよう。僕はいつも通り生きるだけだ。
このピアノ線が織りなす舞台の上で。
その他
公開:25/02/09 23:12

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