霊感商法・破邪の剣

「お兄さん。少しお時間よろしいですか？」
大学に向かっている道中、怪しい二人組に声をかけられた。
その顔には貼り付けたような笑顔。これ、絶対にろくでもない勧誘だ…
「私達、天龍様のお導きで困っている方を助けているんです。何か困られている事、ありませんか？」
今まさにだよ…と言おうとして飲み込む。
『すみません。急いでるんで…』
「ああ！それならこのお守りだけでも買って下さい！必ずや貴方をお守りするでしょう！」
ほらきた…やっぱりヤバい奴だ。
壺か？お札か？鞄の中からそれが取り出される。
それはドライブインとかで売っている、剣に龍が巻き付いたキーホルダーだった。
「天龍様の破邪の剣。８８０円です」
うわぁ…心くすぐられる…絶妙な値段設定に思わず買ってしまった。
それを付けて教室に入る。同じキーホルダーを着けている人と目が合い、意気投合した。
友人がいない事が悩みだった僕に始めて友人が出来た。