気分屋の起業
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「君は気分屋だな」
と上司に言われ、社内起業制度を利用して副業を始めた。
「毎度、気分屋です!気配りに来ました」
各部署を巡回し、気が利くと評判の社員から良質な気を集め、全員に分配する事で能力の平均化を図る。
皆が可もなく不可もなく、画一的に気が回る様になる頃、社内掲示板である書き込みを見た。
『あの気分屋、気まぐれにも程がある』
なるほど、偶然のまぐれでは気分屋とは言えない。もっと確実に配らなければ。巡回を強化し気配りを徹底する。今度こそと思ったが、社員の評価は一層厳しかった。
『何が気配りだ。親切の押し売りだろう』
皆のために気を回すつもりが、私の空回りだったのか。意気消沈の私に上司が声をかけてきた。
「商売は配って終わりじゃない。どう活用し、何を生み出すかが肝心だ。……まあ、俺も言い過ぎた、気に病むな」
そうか。真の気分屋に必要なのは気配りではなく、この人の様な気遣いだったのだ。
と上司に言われ、社内起業制度を利用して副業を始めた。
「毎度、気分屋です!気配りに来ました」
各部署を巡回し、気が利くと評判の社員から良質な気を集め、全員に分配する事で能力の平均化を図る。
皆が可もなく不可もなく、画一的に気が回る様になる頃、社内掲示板である書き込みを見た。
『あの気分屋、気まぐれにも程がある』
なるほど、偶然のまぐれでは気分屋とは言えない。もっと確実に配らなければ。巡回を強化し気配りを徹底する。今度こそと思ったが、社員の評価は一層厳しかった。
『何が気配りだ。親切の押し売りだろう』
皆のために気を回すつもりが、私の空回りだったのか。意気消沈の私に上司が声をかけてきた。
「商売は配って終わりじゃない。どう活用し、何を生み出すかが肝心だ。……まあ、俺も言い過ぎた、気に病むな」
そうか。真の気分屋に必要なのは気配りではなく、この人の様な気遣いだったのだ。
その他
公開:25/02/03 14:35
ラジオ『月の音色』
月の文学館
テーマ:すごい気配り
創樹(もとき)と申します。
葬祭系の生花事業部に勤務の傍ら、物書きもどきをしております。
小石 創樹(こいわ もとき)名にて、AmazonでKindle書籍を出版中。ご興味をお持ちの方、よろしければ覗いてやって下さい。
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ベリーショートショートマガジン『ベリショーズ』
Light・Vol.6~Vol.13執筆&編集
他、note/monogatary/小説家になろう など投稿サイトに出没。
【直近の受賞歴】
第一回小鳥書房文学賞入賞 2022年6月作品集出版
愛媛新聞超ショートショートコンテスト2022 特別賞
第二回ひなた短編文学賞 双葉町長賞
いつも本当にありがとうございます!
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