気配り上手なクバル君

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業務効率化と福利厚生を兼ねて、オフィスにお茶汲みロボが導入された。
『今日モオ疲レ様。ホンノ気持チデス』
ポット型のボディを傾け、湯呑みならぬ気呑みを配り歩くのは、気配りロボのクバル君だ。各社員のメンタルを考慮し、最も必要な気を配ってくれる。

「ふわ~あ。おはよ」
朝から大あくびのA君には活気を。
「午後のプレゼン緊張する。失敗しないかな」
あがり症のBさんには勇気を。
「また再提出か。細かい計算苦手なんだよ」
おっちょこちょいのCさんには根気を。
「取引先からクレームだ。へこむな……」
溜息の絶えないD氏には元気をという具合である。クバル君の気配りで皆の意欲や能率が向上、オフィスの雰囲気も良くなった。


「さすがクバル君。すごい気配りだ」
「まさに天晴れ。みんな、気合い入れて行こう!」
『ドウイタシマシテ。本気ノ気持チデス』
年に一度の社内運動会。クバル君のお蔭で今日は良いお天気だ。
SF
公開:25/02/03 14:32
月の音色 月の文学館 テーマ:すごい気配り

創樹( 富山 )

創樹(もとき)と申します。
葬祭系の生花事業部に勤務の傍ら、物書きもどきをしております。
小石 創樹(こいわ もとき)名にて、AmazonでKindle書籍を出版中。ご興味をお持ちの方、よろしければ覗いてやって下さい。
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ベリーショートショートマガジン『ベリショーズ』
Light・Vol.6~Vol.13執筆&編集
他、note/monogatary/小説家になろう など投稿サイトに出没。

【直近の受賞歴】
第一回小鳥書房文学賞入賞 2022年6月作品集出版
愛媛新聞超ショートショートコンテスト2022 特別賞
第二回ひなた短編文学賞 双葉町長賞

いつも本当にありがとうございます!

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