神話

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 真夜中の路地に段ボール箱が置かれていた。
 箱には「ご自由にどうぞ」と書かれていた。
 箱の中には、世界のリセットボタンが入っていた。
 そこを通りかかった酔っ払いがそれを見つけた。
 酔っ払いは一時間考えた後、リセットボタンを押すことにした。
 酔いは覚めていた。酔っ払いは酔っ払いではなく一人の男に戻っていた。
 男は震える指をリセットボタンに近づけた。
 色々なことが思い出された。大体は女と金のことだった。
 男はリセットボタンを押した。
 一秒、二秒、三秒……一分。
 何も起きなかった。
 突然頭上から、ゲラゲラと笑い声が聞こえてきた。
 それは神々の笑い声だった。
 男は絶望し、怒りに震えた。
 そしてその怒りが頂点に達した時、男の背中に翼が生えた。
 男は神々のいる場所へ飛んでいき、長い戦いの末神々を殺し、世界を初めの状態に戻した。
ファンタジー
公開:25/02/03 13:52

六井象

短い読み物を書いています。その他の短編→ https://tomokotomariko.hatenablog.com/

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