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「じゃあ今回も同じお薬出しときますね~」
「あっ……」
 ぼうっとした頭にやっと言いたいことが浮かんだのに、また僕は先生に言えなかった。1ヶ月分の抗うつ剤やら睡眠薬やらで膨らんだ袋を下げてとぼとぼ帰路につく。
 

 明日からまた会社だ。そう思うと涙が出てくるので頓服を飲む。事あるごとに薬。飲み忘れたものがテーブルにドサッと置いてある。僕はベッドに入った。最近ずっと眠い。ますます仕事に集中できない。
『君はうつ病じゃなくて、うつ状態です』
 優しい優しい僕の先生。先生は僕の最後の砦です。それなのに……。
 どうしたら彼は僕を心配してくれる? もっと病状が悪化すればいいのだろうか。

「あ」
 そのとき、僕は思いついてしまった。
 頼りにならない医者。テーブルの上の大量の処方薬。ホントはもう気づいていたこと。
 僕はぼろぼろ泣いた。
 窓からの夕陽がいやに淋しい。
ホラー
公開:25/02/02 15:31
更新:25/02/02 18:01
精神科 医療 社会問題

るんるんとー

趣味で小説書いてます。ショートショートの才能は確実に無いです(泣)

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