せわしないニワトリ

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遅ればせながら初詣に行ったら、鳥居のところにいた一羽のニワトリに話しかけられた。
「ちょっとそこのあんた! あたしを家に連れて行きなよ。絶対役に立つからさ!」
「急に困ります……」
「今年はあたしの年だと思って神様に挨拶へ来たら、まだ四年後だったんだよ。期間限定だと思えば、鶏のエサくらいなんとかなるだろ?」
「うーん……ひとまずお詣りだけしてきていいですか?」
そう言って土地神さまに新年の挨拶をしたら、なんだかニワトリが気の毒に思えてきて連れ帰ることにした。
あれから一週間経つけど、ニワトリは本当に役に立っている。
目覚まし時計代わりに甲高い声で鳴き、今や高級品となってしまった卵を差し出し、わたしが庭でくつろぐ時には屋根にのぼって風見鶏役をしてくれるのだ。
惜しむらくは意外とエサ代がバカにならないことだけど、彼とはこの先末長く付き合っていきたい。
四年後を思うとちょっと憂うつだ。
ファンタジー
公開:25/01/30 12:13

いちいおと( japan )

☆やコメントありがとうございます✨
以前のアカウントにログインできなくなってしまい、つくりなおしました。
イラストはibisPaintを使っています。

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