船幽霊を飼う

ひと月前、幼い息子が学校帰りに船幽霊を拾ってきた。
私達に隠れて飼うつもりだったようだが、船幽霊が「柄杓をくれ～」と頻繁に鳴くものだからすぐにバレた。
最初は船幽霊なんて飼うのは反対だったけど、船幽霊をお風呂に住み着かせてからというもの、息子は一人でお風呂に入るようになった。どうやら、船幽霊に背中を流してもらっているらしい。
シャンプーも一人でできるようになった。息子は両耳を押さえると泡だらけの頭を船幽霊に突き出す。船幽霊は泡が残らないようしっかり息子の頭を流してくれる。
船幽霊は私にも懐いていて、入浴中、ヘッドスパをしてくれる。冷たい指が気持ちいい…
夫なんて先日、深夜に泥酔状態でお風呂に入り、浴槽で居眠りをしてもう少しで溺れるところだった。
船幽霊が助けてくれなかったら夫の命はなかっただろう。
船幽霊も多頭飼いでなければ可愛いものだ。
今や船幽霊はかけがえのない家族の一員である。