それ兄さんだよ
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「それでは除霊させていただきます」
数珠を手に坊さんが念仏を唱え始めた。僕たちも何となく手を合わせる。
「幽霊が出る」と初めに言い出したのは母さんだった。誰もいないのに足音が聞こえる、廊下を横切る人影を見た…。そのうち母さんだけじゃなく、姉さんも父さんも幽霊が見えると怯えるようになった。あんまり僕たちが騒ぐものだから、除霊をお願いしてみたらどうかとすすめてくれたのは隣のおばさんだ。
念仏は盛り上がりのピークを迎えている。
「…ねえ、これ何してんの?」
戸惑った様子で僕の隣に兄さんが立った。
「え?これもしかして除霊ってやつ?ウケる」
兄さんは半笑いで坊さんに近づく。ツルッと光る頭を人差し指で突っついて、耳の穴に指を差し込む。鼻に小指を突っ込む。
だめだ。これ絶対に失敗だ。
半透明の体で好き勝手する兄さんを見ながら、僕は頬の内側を噛んで笑いを耐えた。
念仏はまだ続いている。
数珠を手に坊さんが念仏を唱え始めた。僕たちも何となく手を合わせる。
「幽霊が出る」と初めに言い出したのは母さんだった。誰もいないのに足音が聞こえる、廊下を横切る人影を見た…。そのうち母さんだけじゃなく、姉さんも父さんも幽霊が見えると怯えるようになった。あんまり僕たちが騒ぐものだから、除霊をお願いしてみたらどうかとすすめてくれたのは隣のおばさんだ。
念仏は盛り上がりのピークを迎えている。
「…ねえ、これ何してんの?」
戸惑った様子で僕の隣に兄さんが立った。
「え?これもしかして除霊ってやつ?ウケる」
兄さんは半笑いで坊さんに近づく。ツルッと光る頭を人差し指で突っついて、耳の穴に指を差し込む。鼻に小指を突っ込む。
だめだ。これ絶対に失敗だ。
半透明の体で好き勝手する兄さんを見ながら、僕は頬の内側を噛んで笑いを耐えた。
念仏はまだ続いている。
ホラー
公開:25/02/01 21:47
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