定価
2
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閉店時間間際のスーパーのおにぎり売り場に、半額シールと聴診器を持った店員がやってくる。
店員は耳に装着した聴診器の先端をおにぎりに当てる。そして音を聞き、うなずいて半額シールを貼る。
おにぎりに聴診器を当てる。うなずく。半額シールを貼る。
おにぎりに聴診器を当てる。うなずく。半額シールを貼る。
それを繰り返している。
が、最後のおにぎりに聴診器を当てて、店員は動きを止めた。そしてそのままじっとおにぎりを見つめていた。
その様子を見ていたおばさんが店員に話しかけた。
「貼らないの?半額シール」
「まだ心の準備が出来ていないようなので」
店員はそのおにぎりを軽く撫でた。
「じゃあ私が定価で買うわ」
おばさんが言う。
「でも……」
「いいから」
おばさんはそのおにぎりを両手で包み込むように持ち、レジへと向かう。店員は涙ぐむ。
店員は耳に装着した聴診器の先端をおにぎりに当てる。そして音を聞き、うなずいて半額シールを貼る。
おにぎりに聴診器を当てる。うなずく。半額シールを貼る。
おにぎりに聴診器を当てる。うなずく。半額シールを貼る。
それを繰り返している。
が、最後のおにぎりに聴診器を当てて、店員は動きを止めた。そしてそのままじっとおにぎりを見つめていた。
その様子を見ていたおばさんが店員に話しかけた。
「貼らないの?半額シール」
「まだ心の準備が出来ていないようなので」
店員はそのおにぎりを軽く撫でた。
「じゃあ私が定価で買うわ」
おばさんが言う。
「でも……」
「いいから」
おばさんはそのおにぎりを両手で包み込むように持ち、レジへと向かう。店員は涙ぐむ。
ファンタジー
公開:25/02/01 16:24
短い読み物を書いています。その他の短編→ https://tomokotomariko.hatenablog.com/
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