いつものしゅうかん

0
1

「親は子どもに無償の愛を分け与えるものだ」
なんて大人は言うけれど、私はそうは思えやしない。だって、親からそれを受け取った記憶がないから。

微かにカーテンの隙間から街明かりが差す暗い部屋で、布団で蹲る。
閉じきった扉の先から聞こえてくる、私を生んでしまった女の、誰かを強く叱りつける声と、それに負けじと泣き叫んで反抗する可愛そうな少年の声が、ガンガンと鼓膜を劈く。

今日もまた、怒られてる。きっと、あの理不尽な母の反感を買ったんだ。

そう考えると何故か胸が締め付けられて、瞼が熱くなる。悲憤の涙が溢れ落ちる。
どうしても聞きたくなくて、泣きたくなくて。
私は今日も、カピカピに乾燥した塩っぱい枕に顔を埋めて、耳を抑えて、弟を想って、溢れる涙で、ただただ濡らす。そして疲れ果てて瞼を閉じる。

あぁ、不変の明日がやってくる。

段々と朧いていく意識の境界線が、今の私には途轍もなく恐ろしかった。
その他
公開:25/02/01 14:45

須津屋みゆき

基本読むことが好きです。
色々考えることが好きなので、わりと書くことも楽しくて好きです。色んなジャンルに挑戦したいですね。

普段ショートショートは書かないので、お手柔らかに。

コメントはありません

コメント投稿フォーム

違反報告連絡フォーム


お名前

違反の内容