王道で文学的な最低限度の恋愛

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図書館でよく見かける爽やかな雰囲気の青年、まさか私にこんな王道の恋愛的展開が来るとは!

同じ本を手に取ろうと手が触れた。
「先どうぞ」「いえいえ、お先にどうぞ」
青年は「文庫版を探してみるので、本当に大丈夫です」と立ち去っていった。
貸出カウンターに並んでいると、後ろに青年が並び、その手には同じ本の文庫版があった。
「文庫版、あったんですね」
「ええ、良かったです」



後日、図書館ですれ違い、2人同時に口を開いた。
「あの…」
「もしお時間あったら、本の感想話し合いませんか?」

月日が経ち、付き合うようになり、彼が小説を書いていることを知ったのだけれど。
「ねえ、作品見せてよ」
「いやいや、まだまだ力不足で見せられるようなものじゃないよ」

私は彼のPCをこっそり開いた。

なんと彼は地方文学賞にえげつない官能小説を送りつける、ギリギリ捕まっていないだけのただのド変態だったのだ!!
その他
公開:25/02/01 00:07

ぱせりん( 中四国 )

北海道出身です。

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