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メトロノームの音が、カチカチと鳴り続ける。
恋人の瞳が、単調なリズムを刻みながら、左右へと揺れる。
ぼくは、たったいま愛する彼女を殺した。あまりに彼女が美しかったから、瞳があまりに澄んでいたから、彼女をさらに輝かせたくて、彼女の瞳をくり抜いてメトロノームの先端に刺した。
これほどまでに美しいオブジェは存在しないはずだった。
それなのに、なにひとつ高揚感が湧き上がらない。なぜなら、くり抜かれた瞳は、彼女の瞳ではないから。ただの物体だから。
私はピアノに指を添える。選んだ曲はショパンのノクターン。美しいい調べが、色のない室内に響き渡る。
彼女の瞳は、何も言わぬまま、私のことを見つめ続ける。左右に揺れ、赤黒い血を垂らしながら。
恋人の瞳が、単調なリズムを刻みながら、左右へと揺れる。
ぼくは、たったいま愛する彼女を殺した。あまりに彼女が美しかったから、瞳があまりに澄んでいたから、彼女をさらに輝かせたくて、彼女の瞳をくり抜いてメトロノームの先端に刺した。
これほどまでに美しいオブジェは存在しないはずだった。
それなのに、なにひとつ高揚感が湧き上がらない。なぜなら、くり抜かれた瞳は、彼女の瞳ではないから。ただの物体だから。
私はピアノに指を添える。選んだ曲はショパンのノクターン。美しいい調べが、色のない室内に響き渡る。
彼女の瞳は、何も言わぬまま、私のことを見つめ続ける。左右に揺れ、赤黒い血を垂らしながら。
その他
公開:25/01/31 22:42
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