仕事の代償

ゴシップ紙の記者をしている私はこの仕事に辟易している。
部数を伸ばす為とはいえ、有名人の噂に尾びれ背びれを付け、嘘をでっちあげる。虚偽の情報を真実っぽく加工しては事実を捻じ曲げる。こんな事をやりたくて、この仕事に就いたわけじゃない。
「いいか。ゴシップ紙は人の人生を奪う事が仕事なんだ。有名人をテレビから追放してこそ、一人前だ」
それが仕事なら、私は一人前にならなくていい。
とはいえ私にも養うべき家族がいる。仕事は簡単に辞められない。異動願いを出すのが関の山だ。
今日も仕事を終え、会社を出る。入り口で人とぶつかった。
腹部に鋭い痛み。ぶつかった相手が私の腹を刃物で突き刺していた。
「お前のせいで、俺の人生は滅茶苦茶だ…」
相手は先日、私が捏造した記事で陥れた有名人。
「だからお前の人生奪ってやる…」
喉を切り裂かれる。悲鳴すら上げられない。
こんな事になるなら、仕事早く辞めておけばよかった…