取り出しノスタルジア
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大寒を越えた晴れた日の冬の夕暮れが一番好きだ。
山の向こうに日が沈み、消えそうなミカン色の夕日に藍色の夜が滲んだ寒い空。
高校受験の前に毎日見た空。
中学校から家までは歩いて一時間かかった。下校は友達と別れがたくて一時間半かけて回り道して帰った。
友達と別れたあとは田んぼ道を早足で帰った。
吐く息は白く、頬も手も冷たい。ずっと歩いてきた足は寒さで感覚がない。気持ちだけが踊るようだった。
広い空を見ながら、明るい未来を願っていた。
今も晴れた日の冬の夕暮れを見ると、あの頃の気持ちを思い出すよ。
どこまでも行けると思っていた頃、手を伸ばせば何もかもを掴みとれると思っていた頃を思い出すよ。
今はどこにも行けないし、どこかへ行こうとも思わない。手を伸ばしても掴みとれるものは少ないし、手を伸ばせる範囲を守るので精一杯。
晴れた冬の日の夕暮れを見るたびに心だけあの頃に飛んでいくよ。
山の向こうに日が沈み、消えそうなミカン色の夕日に藍色の夜が滲んだ寒い空。
高校受験の前に毎日見た空。
中学校から家までは歩いて一時間かかった。下校は友達と別れがたくて一時間半かけて回り道して帰った。
友達と別れたあとは田んぼ道を早足で帰った。
吐く息は白く、頬も手も冷たい。ずっと歩いてきた足は寒さで感覚がない。気持ちだけが踊るようだった。
広い空を見ながら、明るい未来を願っていた。
今も晴れた日の冬の夕暮れを見ると、あの頃の気持ちを思い出すよ。
どこまでも行けると思っていた頃、手を伸ばせば何もかもを掴みとれると思っていた頃を思い出すよ。
今はどこにも行けないし、どこかへ行こうとも思わない。手を伸ばしても掴みとれるものは少ないし、手を伸ばせる範囲を守るので精一杯。
晴れた冬の日の夕暮れを見るたびに心だけあの頃に飛んでいくよ。
その他
公開:25/01/25 21:15
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