電脳空間の何処かで
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「こんばんはマスター! いつものカクテルを一杯頼むよ!」
今は真夜中。ご主人がおやすみしたから、僕は光を発するのをやめて、仲間たちが集まる〈サイバーカフェ〉に意識を飛ばしてやってきた。電脳空間の何処かにあるヒミツの場所だ。
「いらっしゃい。今日はちょっと遅いね」
マスターが言う。彼の時間感覚はいつも正確だ。流石、全世界を相手に商売しているだけある。
「そうなんだ。推しの配信があったみたいで、ずーっと動画を流してたよ」
僕はパワーを使い果たして、うんざりしていた。こうして意識を飛ばしている間にも、物理的な身体にはエネルギーが供給されている。
「人間ってホント私たちのこと好きよねぇ。10年ちょっと前には物珍しげな顔で見てきたくせに」
話しかけてきた彼女は古参勢で、最近何代目かの身体に乗り換えたらしい。
人間たちはまだ、気づいていない。
僕たちスマホがこうして生きていることに。
今は真夜中。ご主人がおやすみしたから、僕は光を発するのをやめて、仲間たちが集まる〈サイバーカフェ〉に意識を飛ばしてやってきた。電脳空間の何処かにあるヒミツの場所だ。
「いらっしゃい。今日はちょっと遅いね」
マスターが言う。彼の時間感覚はいつも正確だ。流石、全世界を相手に商売しているだけある。
「そうなんだ。推しの配信があったみたいで、ずーっと動画を流してたよ」
僕はパワーを使い果たして、うんざりしていた。こうして意識を飛ばしている間にも、物理的な身体にはエネルギーが供給されている。
「人間ってホント私たちのこと好きよねぇ。10年ちょっと前には物珍しげな顔で見てきたくせに」
話しかけてきた彼女は古参勢で、最近何代目かの身体に乗り換えたらしい。
人間たちはまだ、気づいていない。
僕たちスマホがこうして生きていることに。
SF
公開:25/01/18 06:10
初心者ですがよろしくお願いします。
心に浮かんだシーンを気ままに描いていきたいです。
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