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 真夜中、かすかな物音で目が覚めた。
 居間からカチカチ聞こえてくる。
 家族共用のパソコンがあるので、誰かがそれを使っているのだろう。
 気にせず眠り直そうとした時、夫が隣で寝ていることと、息子は修学旅行に行っていることに気づいた。
 じゃあ誰だ?
 そっと居間の扉を開けると、飼い猫がパソコンの画面をじっと見ながら、キーボードを叩いていた。
 そっと扉を閉じて、眠り直すことにした。
 たぶん夢を見てるんだ。自分に言い聞かせた。
 翌朝パソコンをおそるおそる見ると、キーボードに爪の痕がついていた。夢ではなかったらしい。
 そうなると、飼い猫がパソコンで何をしていたかが気になる。
 試しにインターネットを開くと、検索バーに
《鼠 捕り方》
 と打ち込まれていた。
 その時背後で、
「にゃあ」
 と鳴き声がした。
 振り返ると飼い猫がいて、口の周りが真っ赤だった。
ホラー
公開:25/01/18 00:31

六井象

短い読み物を書いています。その他の短編→ https://tomokotomariko.hatenablog.com/

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