黒歴史コースター

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近くの遊園地に最近できた黒歴史コースターが話題になっている。
いわゆる絶叫マシンなのだが、乗って叫んでいるうちに次第に自分の黒歴史が昇華されていくのだという。
「最後の落ちるところがマジで怖かったんだけど乗り終わったらなんかすっきりしてさ。自分の黒歴史、もうほとんど覚えてないんだよね!」
友達のマイが興奮気味に話すのを聞いて、忘れたい黒歴史だらけの私もコースターに挑戦しようと決めた。

当日、数十分待ってようやく自分の番が回ってきた。絶叫マシンは苦手だけどこれで自分の黒歴史とサヨナラできるならと腹を括ってコースターに乗り込んだ。
「安全バーが下がります」
とスタッフのアナウンス。
だけど安全バーは私の胸の前で止まってしまった。他の人は腰まで下がっているのに、なぜ?
戸惑う私に向かってスタッフが言った。
「申し訳ございません。お客様がまとわれている黒歴史が大きすぎて安全バーが下がりません」
公開:25/01/22 22:28

山吹 橙子

山吹橙子(やまぶきとうこ)と申します。趣味で小説にチャレンジ中の平凡な会社員です。
楽しい話、ツッコミたくなる話が書けるよう日々精進しています。
ど素人のひよっこですがよろしくお願いします!

※コメント下手ゆえ、⭐︎の押し逃げをすることがあります。お許しください。

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