0
4
休日のお昼、商店街は食欲をそそる匂いで満ちている。その中でも一際鼻を刺激するのは、ツンとしたスパイスの香り──中華だ。匂いの出所を探そうと、商店街を歩き回るが、中華料理店は見当たらない。何往復しても見つからず、とうとうマップまで開いたが、どこにも存在しない。
途方に暮れて商店街を出ようとしたとき、入口付近で匂いが急に濃くなる瞬間があった。香りを辿って細い路地に入ると、椅子に座りながら綺麗なうちわを仰ぐおじさんが現れた。
「何をしてるんです?」
「おっ、気づいたか!ええ匂いやろ?これは中国うちわでな、五香粉っていう中国のスパイスの匂いが染み付いとんねん」
「お店じゃないんですか?」
「店なんてあるかいなぁ。商店街中にこの匂いばらまいて、腹空かせた若者らを呼んで活気を得る。それがワシの仕事や!」
おじさんは得意げに笑い、うちわを一振り。香ばしい匂いが、また商店街に漂っていった。
途方に暮れて商店街を出ようとしたとき、入口付近で匂いが急に濃くなる瞬間があった。香りを辿って細い路地に入ると、椅子に座りながら綺麗なうちわを仰ぐおじさんが現れた。
「何をしてるんです?」
「おっ、気づいたか!ええ匂いやろ?これは中国うちわでな、五香粉っていう中国のスパイスの匂いが染み付いとんねん」
「お店じゃないんですか?」
「店なんてあるかいなぁ。商店街中にこの匂いばらまいて、腹空かせた若者らを呼んで活気を得る。それがワシの仕事や!」
おじさんは得意げに笑い、うちわを一振り。香ばしい匂いが、また商店街に漂っていった。
ファンタジー
公開:25/01/19 16:45
更新:25/01/23 16:49
更新:25/01/23 16:49
町中華
商店街
ショートショート
おじさん
うちわ
コメントはありません
ログインするとコメントを投稿できます