災い転じて福となす

役者を志すも、日の目を浴びず気付けば早４１歳…昨年結婚し、来年には子どもも産まれる。
俺はもう役者の夢を諦めるべきかもしれない…
現実を前に弱気な俺を妻は叱りつける。あと１年、本気でやってみろと活を入れられた。
するとどうだ。４１歳にしてこれまでの地道な努力が認められ主役に抜擢。
それをきっかけに役者の仕事が増え、今やテレビで俺を見ない日はない。
妻の言葉を信じ、俳優を続けて本当に良かった。
「当然よ。男の４１歳は厄年の大厄。大厄は大役になるって信じていたから、厄落としもさせなかったのよ」
金がないからとばかり思っていた…とはいえ、４１歳で成功するとも限らない。失敗したらどうするつもりだったんだ？
「その時は６１歳の大厄まで頑張ってもらうつもりだったわ」
そう話す妻は３７歳。こちらも厄年だ。
ただ、妻の場合、大役ではなく大物女優だよ。
こんなにも俺に優しい女は、妻以外いないと断言できる。