2
3
軒下に吊るしたバードフィーダーは、訪れた小鳥たちのレストランになっている。病床の妻はそちらを眺めながら、静かにつぶやいた。
「生まれ変わったらたんぽぽになりたいな」
「どうして?」
「わたしがいなくなったら、あなたが悲しむでしょ? たんぽぽになって、あなたを元気づけてあげたいの」
ぼくは黙ったままほほえんだけど、妻が亡くなり、なぜあの時、「小鳥になってくれれば毎日おいしいごはんをあげられるよ」と伝えなかったのだろうと後悔した。一年経っても、庭にたんぽぽが生える様子がなかったからだ。
やがて春がやってきた。くたびれてしまったバードフィーダーを更新しようと庭にでた時、気がついた。ちょうど真下に、一本のたんぽぽが芽生えていたことに。
妻は毎日小鳥たちに会うことを楽しみにしていた。きっと特等席で彼らを観察したかったのだろう。
庭は荒れ放題になっていた。ぼくはその足で庭に植える花を買いにでかけた。
「生まれ変わったらたんぽぽになりたいな」
「どうして?」
「わたしがいなくなったら、あなたが悲しむでしょ? たんぽぽになって、あなたを元気づけてあげたいの」
ぼくは黙ったままほほえんだけど、妻が亡くなり、なぜあの時、「小鳥になってくれれば毎日おいしいごはんをあげられるよ」と伝えなかったのだろうと後悔した。一年経っても、庭にたんぽぽが生える様子がなかったからだ。
やがて春がやってきた。くたびれてしまったバードフィーダーを更新しようと庭にでた時、気がついた。ちょうど真下に、一本のたんぽぽが芽生えていたことに。
妻は毎日小鳥たちに会うことを楽しみにしていた。きっと特等席で彼らを観察したかったのだろう。
庭は荒れ放題になっていた。ぼくはその足で庭に植える花を買いにでかけた。
その他
公開:25/01/17 11:20
☆やコメントありがとうございます✨
以前のアカウントにログインできなくなってしまい、つくりなおしました。
清流の国ぎふショートショート文芸賞 入選
イラストはibisPaintを使っています。
ログインするとコメントを投稿できます