ラミアの下半身

「残念ですが、貴方の下半身に適合する人魚はいません」
医師からの通告に私は二度目の死を味わった。
一度目の死は自身の足を失った時。水泳の強化選手だった私は生きる意味を失った。
そんな時、人魚みたく下半身に魚を移植する手術があると知り、医師に相談してみるもこのザマだ。泡になって消えてしまいたい…
「ですが、貴方の下半身に適合するラミアならいます」
ラミア。蛇か…と最初は眉をひそめるも、考えたら蛇も泳ぎは上手だ。
今のままでいるよりかはマシか…私は、下半身に蛇を移植した。
そんな私を周囲は蔑んだ。醜いと陰口を叩いた。
今日の試合、人魚ばかりが並ぶレーンの中、人蛇の私が異彩を放つ。
スタートの合図とともにバタバタと鰭を動かす人魚達。私はスルスルと水中を突き進む。
圧勝だった。その美しい泳ぎに人蛇姫と呼ばれるようになった。
ラミアも案外悪くない。定期的に一皮むけて、人としても大きくなれるのだから。