名画でショート041『ベアトリーチェ・チェンチの肖像』(グイド・レーニ)

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一枚の絵が、彼女の名前を永遠に歴史に刻み込んだ。
彼女の名前は「ベアトリー・チェンチ」。
資産家の貴族の家に生まれたが、幼くして母を失い、父からは性的虐待を受けた。
父は暴力的傾向があり、継母と兄弟も虐待を受けていた。4人は相談し、父を殺した。
チェンチは絶世の美女だった。
処刑の直前、現場を見に来た画家のほうに顔を向けた。画家を認めての行動か、たまたま動いただけなのかは分からない。しかし、彼女と視線があった瞬間、画家にこの上ないインスピレーションが舞い降りた。
こうして「ベアトリーチェ・チェンチ」の名前は歴史に刻みこまれた。
いつしか、ベアトリーチェは傲慢な貴族社会へのレジスタンスの象徴となった。そして、彼女が処刑されて前日の夜、ベアトリーチェの幽霊が斬られた自分の首を持って現れるという伝説も生まれたが、それが彼女の希望であったかどうかは定かではない。
その他
公開:25/01/12 09:34

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