無人島

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「なぁ、無人島に行くとしたら誰と行く?」
「んー…ミーコかな」擦り寄る愛猫を撫でながら答える。
「えぇ?夫の僕じゃないの?冷たいなぁ」
「だってあなたは…(余命1年じゃないの)コンビニがないと生きていけないんでしょ?」
「そうだった!無理だ~」わざとらしく落胆してオヤスミと寝室に消えた。

親父が癌の告知を受けた途端に笑顔も生きる気力も失い、見るまに衰えて亡くなった。僕は親父似だから重病に罹ったら決して教えないでくれ。結婚前に夫はそう言っていた。
リビングの灯りを落とし、寝室には行く気になれずベランダへの窓を開けた。するりとついてきたミーコを抱き上げ夜景を眺める。
10階にしては眺望が良く、目の前は凪いだ夜の海のようだ。
近隣の物音も聞こえない。
(無人島もこんなに静かかしら)

今、私と猫と先立つ夫だけ。

(無人島は此処なのね)

猫にも聞こえない声で誰かに言う。

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公開:25/01/12 01:14
更新:25/01/12 01:16

市杜 七( 関西 )

文章を書く練習中です
よろしくお願いします

市杜 七(いちと しち)

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