うたたね油

昔は泣き止まない赤ん坊には”うたたね油”を使ったものさね。
うたたね油ってのは、その名の通り、使うと転寝してしまう油さ。
この油を赤ん坊のほっぺに塗って、子守歌の一つでも歌えば、あっという間にねんねんころり。
昔は赤ん坊のお世話が今ほど大変じゃなかったのは、そんな便利なものがあったからなのさ。
そんなうたたね油が何故、今存在していないのかって？
それはね、昭和に入ってからというもの、車を持つ家庭が増えただろう？
車のエアコンに、うたたね油を垂らし、事故に見せかけての殺人が多かったからさ。
どんな便利なものでも、使い方を誤ってしまえばそれは危険なものとされる。
今の時代だと、送り狼とかも怖いからねぇ。

…おや？どうしたんだい。えらく眠そうじゃないか？
えっ？儂の話がつまらな過ぎて眠くなってきた？与太話もいい加減にしろ？
儂の話が与太話かどうか、もうすぐ分かるさ…この空っぽの瓶がその証拠さ。