天シキみくに思惟

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街灯のあたらない
遊具も何もないその広場は
さびしさに充ちている

その暗闇は
さびしさそのものだ

その広場に身をまかせることは
さびしさに包まれることではない
さびしさに同化するということだ

夏 若い者たちが
その広場で大きな声を出す
さびしさに抗うように
いつもより 大きな声を出す
声を出していないと
さびしさに支配され
その身が
さびしさそのものに
なってしまうから

だから
楽しくても
楽しくなくても
大きな声を出すのだ

寒い冬の早朝
その広場に 人はいない
広場の外から
大きな声を飛ばす者も いない

さびしさは
何者にも邪魔されず
静かに ひっそりと
さびしさをしている

そのさびしさと
目を合わせないように
そっと 脇を通りぬける
大きな声を出すほどのチカラは
わたしには もう 残ってないから
その他
公開:25/01/07 06:37

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