薬になるメモ帳

そのメモ帳は風邪薬と書くと風邪薬になり、ページをちぎってまるめて飲み込める。
しかも、薬の名前だけではなく、症状を書きこむと、その症状に適した薬になってくれる。
そのメモ帳さえあれば、わざわざ色々な種類の薬を常備する必要がなく、分量も書きこむだけで調整できるため、家庭だけではなく病院や薬局もそのメモ帳を使っている。
ある日、苦悩する若者が自分の憂鬱な気分をそのメモ帳に書きこみ、ページをごくりと飲み込んだ。
メモ帳は若者を苦悩から解放する薬になった。
最近、そういった人々が増え、その数は自殺者数と比例している。