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「何をしておられるのです?冬の君」

御髪に菜の花咲き誇り、陽だまり香る春の君が尋ねた。

「霜柱を…集めていたのですよ」

行燈の灯りが、まだぼんやりと滲む程に薄暗い冬の朝、屋敷の庭から切れ長で涼やかな瑠璃色の瞳を向けて、冬の君が答えた。それから、無数の針の如き霜柱のしゃらりと入った氷の器を手に屋敷へ戻ると静かに机へ向かい、採れたての霜柱が溶けぬよう、時折はぁと木枯らしの息をかけながら、一本一本組み合わせていく。こちこちと小さな音を立てて、冬の君の氷柱のように透き通る細い指によって霜柱が繊細に組み立てられていく様を、春の君は横でおっとりと眺めた。静謐な時間はとろとろと流れ、その行きつく先に霜柱で作られた蛇の骨、蛇骨霜が誕生した。

「さぁ、お行き」

冬の君が蛇骨霜を庭へ放つと、雲間から伸びてきた朝日の道をゆっくり這って、陽光を纏いながら茜さす空へと昇っていった。
ファンタジー
公開:25/01/06 07:20

花笑みの旅人( 気の向くまま )

ページを開いてくださり、ありがとうございました♪

6月12日〜6月末まで勝手にチャレンジしていた毎日投稿を無事達成することができたので7月から夏休みに入りま〜す(⁠◍⁠•⁠ᴗ⁠•⁠◍⁠)

ガーデンでは☆を押してくださったのがどなたかわからないシステムですが、そんな中☆を押してくださった方ありがとうございました!また、リアクション等されていなくとも作品を開き読んでくださった方がいらっしゃいましたとしたら、重ねて感謝申し上げます。貴重な時間を割いていただきありがとうございました!!

もちろん、いつも楽しいコメントをくれるあなたも心からありがとう♪
では、暫くばいばいぴょ〜ん!

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