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「何をしておられるのです?冬の君」
御髪に菜の花咲き誇り、陽だまり香る春の君が尋ねた。
「霜柱を…集めていたのですよ」
行燈の灯りが、まだぼんやりと滲む程に薄暗い冬の朝、屋敷の庭から切れ長で涼やかな瑠璃色の瞳を向けて、冬の君が答えた。それから、無数の針の如き霜柱のしゃらりと入った氷の器を手に屋敷へ戻ると静かに机へ向かい、採れたての霜柱が溶けぬよう、時折はぁと木枯らしの息をかけながら、一本一本組み合わせていく。こちこちと小さな音を立てて、冬の君の氷柱のように透き通る細い指によって霜柱が繊細に組み立てられていく様を、春の君は横でおっとりと眺めた。静謐な時間はとろとろと流れ、その行きつく先に霜柱で作られた蛇の骨、蛇骨霜が誕生した。
「さぁ、お行き」
冬の君が蛇骨霜を庭へ放つと、雲間から伸びてきた朝日の道をゆっくり這って、陽光を纏いながら茜さす空へと昇っていった。
御髪に菜の花咲き誇り、陽だまり香る春の君が尋ねた。
「霜柱を…集めていたのですよ」
行燈の灯りが、まだぼんやりと滲む程に薄暗い冬の朝、屋敷の庭から切れ長で涼やかな瑠璃色の瞳を向けて、冬の君が答えた。それから、無数の針の如き霜柱のしゃらりと入った氷の器を手に屋敷へ戻ると静かに机へ向かい、採れたての霜柱が溶けぬよう、時折はぁと木枯らしの息をかけながら、一本一本組み合わせていく。こちこちと小さな音を立てて、冬の君の氷柱のように透き通る細い指によって霜柱が繊細に組み立てられていく様を、春の君は横でおっとりと眺めた。静謐な時間はとろとろと流れ、その行きつく先に霜柱で作られた蛇の骨、蛇骨霜が誕生した。
「さぁ、お行き」
冬の君が蛇骨霜を庭へ放つと、雲間から伸びてきた朝日の道をゆっくり這って、陽光を纏いながら茜さす空へと昇っていった。
ファンタジー
公開:25/01/06 07:20
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