カルテッド

１月の満月はウルフムーン。
２月の満月はスノームーン。
３月の満月はワームムーン。
そして１２月の満月はコールドムーン。１月から１２月まで満月にはそれぞれ呼び名がついてある。
そんな満月の夜、月に住む女神は地上に住む人間に楽器を与える。
今年の１月は１対の琵琶を。２月は１対のビオラを。３月は１対のハープを。
弦楽器であるこれらは上弦と下弦の月に見立てられたものだ。１対の楽器からは月のように静かで涼しげな音がする。
なお、演奏が終わると楽器は空に溶けるように消えてしまう。これの理由はよく分かっていない。
そもそも１月から１１月に与えられる弦楽器にも規則性はない。何の弦楽器が与えられるか分からない。
だが１２月だけは何が与えられる分かっている。４対のハンドベルだ。
このハンドベルの音は月の雫とも呼ばれ、冬将軍を起こす目覚ましの役目がある。
冬将軍が列島を走るとその音に大地が目覚め、春が巡る。