forget me not (忘れな草)

私は神社の清掃バイトをしていたが今日で退職する。
最後に参拝者用のトイレ掃除に行くと奥の個室から
カタン、カタンと音がする。

覗くとトイレットペーパーがクルクルと回っている。

すると突然、ペーパーが長く伸びて美しい白蛇になった。
神社に住む白蛇は神様の眷属だと言う。
そして神社を綺麗にしてくれた御礼と言って私に卵をくれた。

退職した私は災害ボランティアをする為に
災害が起きた地に来ていた。
復興はあまり進んでいない。
その時、背負ったリュックの中が動いた。

開けて見ると持って来た卵から白蛇の赤ちゃんが生まれていた。
白蛇は、あっという間に大きくなり
私と一緒に被災された方の引っ越しの手伝いをしてくれた。

手伝いが一段落したので
「今日の手伝いは終わりですよ」と私が白蛇に言うと
みるみると小さくなり白蛇は沢山の光り輝く小判になった。

小判の近くには季節外れの忘れな草が咲いていた。