氷の女王

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バイト先のアイスクリームショップで出会った彼女とは、付き合って半年になる。
だけど昨日の夜、別れを切り出されてしまった。
「もっと寒いとこに行きたいなって……」
「北海道とか日本海側?」
「そうね、たぶん」
「それって期間限定じゃなく、永遠にってこと?」
「当然でしょ。だって関東の冬はあたたか過ぎるんだもの」
彼女は氷の女王だ。はじめはジョークでそう言ったのだと思っていたけど、手から氷のしぶきを飛ばすところを見たら、誰だって本物だと信じるだろう。でもおれは別れたくない。地の果てまでついていく覚悟はできている。
「そういうことならおれも連れてってよ。寒いところも得意だしさ!」
「本当に!?」
喜びのあまり、涙をこぼしながらおれに抱きついてきた彼女は、氷のしぶきを最大出力した。案の定、おれは氷だるまになり、その場で息絶えた。
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公開:24/12/26 09:15

いちいおと( japan )

☆やコメントありがとうございます✨
以前のアカウントにログインできなくなってしまい、つくりなおしました。

清流の国ぎふショートショート文芸賞 入選

イラストはibisPaintを使っています。

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