言葉を染み込む黒板

　その黒板は、とある過疎の村の廃校になった教室にある。

　初めは遊びで書いた落書きが、忽然と消えたので騒ぎになった。呪われた教室の怪奇として、ますます人が寄り付かなくなった。

　だが一方で、家出をした人が一晩の宿として無断で泊まり、苦しみをチョークで黒板に書き綴る。

　夜明け頃に、黒板の字は、染み込むように消えてしまう。

　それを見た訪問者は、学校を立ち去る。

　黒板に、『帰れ』とあるからだ。