カルテッド

５０年続いた超人気漫画がついに完結した。５０年続いたそのアニメもまた、先日ついに最終回を迎えた。
その漫画の登場人物である私はプレッシャーからの解放に、ホッとする。
「おめでとう」「お疲れ様」「よく頑張った」
そう私を労ってくれるのは旅の仲間…ではなく、私だった。私は３人の私から労いの言葉を貰う。
「ありがとうございます。皆さんから受け継いだバトン。落とさずに完走出来ました」
私達４人、見た目は同じ。だが、４人とも声が違う。
５０年続いたアニメの中、声優の代替わりが３度あった。初代の私に至っては天国へと旅立っている。
私の身体は１つだが、その声は４つあり、そこに込められた思いも４人分存在する。
同じ楽器でも、奏者が変わると音が変わるように、声が変わるとそのキャラクターにも変化がある。
見た目こそ同じだが、４人とも私であり私でない。
だからこそ、私は誰よりも私に話を聞いてもらいたいと思った。