ウソの教室

「ようこそウソの教室へ。ウソの技術を教えます。まず教室に来た理由を話してください。一番のあなた」
「はい、上手なウソで楽しい人生になると思います」
「いきなりの本当で、あなたにはウソの素質がない。出てください」（一名退室）「では次の人」
「ウソなんかつきたくないからここに来ました」
「いいですね。その調子です。では三番目の人」
「理由は特にありません」
「やはり本音です。出てください」（一名退室）「ウソ上達には平常から本当を言わずにウソを創造します。居眠りの人、上達したウソつきになりたいですか」
「いや、別に」
「それはウソではないですね。出てください」
「ウソですよ」
「聞き手がなるほどと納得するのがウソです。別に、は逃げ口上」（一名退室）
「質問です」
「どうぞ」
「ウソを教えるというものウソなんじゃないですか」
「その通り。では次回をお楽しみに」
第二講以降が開かれることはなかった。