誘拐犯に捧げるサプライズ

娘が誘拐された。犯人の要求は一千万円。
私はすぐに一千万用意すると、犯人の指定する港の倉庫へと急いだ。

私は両手に一つずつ持つトランクの中身を誘拐犯に見せる。一つは札束が詰まっている。もう一つは空。
『札束の入っている方をこっちに寄越せ』
蓋を閉め、札束の入ったトランクを誘拐犯に渡す。
誘拐犯が中を確認しようとトランクを開ける。中に何も入っていなかった。
『娘がどうなってもいいのか！』
激怒する誘拐犯。私は手元のトランクを開ける。中から誘拐された娘が出てきた。
目の前の出来事に混乱する誘拐犯。
さらに私が指をぱちんと鳴らすと、誘拐犯の手元のトランクからは警官隊が飛び出した。
あっという間に捕らえられ、呆然とする誘拐犯に私は告げた。
「いかがでした？今度のワールドツアーで披露する予定の、まだ誰も知らない私の新作マジックです。それをこんな間近で見られるなんて、１千万の価値はあったでしょう？」