事故物件

「この部屋、かなり出てしまっているんですよ…」
そう話す不動産屋はかなり弱り切っていた。この部屋は人が住める状態ではない、と。
綺麗で清潔感のある部屋だ。とても出るようには思えない…
それでも、一歩足を踏み入れるとそれは出てしまった…
部屋の奥まで歩く。後ろを振り返ると、私が大量増殖していた。
話には聞いていたが不気味すぎて引く。
不動産屋も恐る恐る家の中へと入る。だが、急にその動きが止まった。
まるで金縛りのように見えるこれはフリーズ。
部屋に人が二人入ってきて、部屋の情報処理が間に合っていないみたいだ。
私は私を避けて玄関に戻ろうとしたところ、何かに躓き、壁に手をつきそうになった。
だが私の手は壁をすり抜け、大きく倒れてしまう。
大量増殖した私が壁から生えた私の尻を凝視した。
噂には聞いていたが、ここマジでかなり出るのな…バグが。
早く外に出たいがこの部屋は今、私達に応答していない。