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「君は黄色が良く似合う」
「んっ?」
僕の傍らで彼女は今日も絵を描いてる。青を基調とした絵。海も山も雲も橋も、そして海峡を行き交う船も彼女の手にかかれば青一色の世界に閉じ込められてしまう。
海を見下ろす公園で彼女と出会った。古びたベンチに腰掛けて、一心に海を描いていた君。青絵の具をキャンバスに飾り付けてゆくそのさまが、まるでスティックを振る魔法使いに見えた。
「…お腹すいたね」
絵筆を止めた彼女がつぶやいた。「そろそろ帰ろっか」
二人で暮らす小さな部屋のキッチン。「今日は僕が作るよ」
甘い出汁巻き卵に舌鼓。「わぁ、熱々!」無防備に頬張る彼女。
「ほらね、君はやっぱし黄色が似合う。出汁巻きタマゴン」
ほっこり膨らんだ彼女の頬がほんのりと紅くなる。もぞもぞと頬張りながら目で笑ってみせる君。
窓辺に架けた空色の僕のシャツ。
このところ彼女色に染められてゆく自分が、なんだかちょっと心地良くて…
「んっ?」
僕の傍らで彼女は今日も絵を描いてる。青を基調とした絵。海も山も雲も橋も、そして海峡を行き交う船も彼女の手にかかれば青一色の世界に閉じ込められてしまう。
海を見下ろす公園で彼女と出会った。古びたベンチに腰掛けて、一心に海を描いていた君。青絵の具をキャンバスに飾り付けてゆくそのさまが、まるでスティックを振る魔法使いに見えた。
「…お腹すいたね」
絵筆を止めた彼女がつぶやいた。「そろそろ帰ろっか」
二人で暮らす小さな部屋のキッチン。「今日は僕が作るよ」
甘い出汁巻き卵に舌鼓。「わぁ、熱々!」無防備に頬張る彼女。
「ほらね、君はやっぱし黄色が似合う。出汁巻きタマゴン」
ほっこり膨らんだ彼女の頬がほんのりと紅くなる。もぞもぞと頬張りながら目で笑ってみせる君。
窓辺に架けた空色の僕のシャツ。
このところ彼女色に染められてゆく自分が、なんだかちょっと心地良くて…
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公開:24/12/21 12:37
更新:24/12/21 12:39
更新:24/12/21 12:39
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