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ダンススタジオのド真ん中で、哀しみが激しく踊っている。

「ストップ、ストーップ!…みんな、いったん集合〜」

私の元へ汗を流した喜、怒、哀、楽が集まった。

「……哀、いい?あなたは一人で踊っているんじゃないの。」

「……で、でもっ、最近、わ、私が……頑張ら、ないと、って……」

苦しげにぜーぜーと息を吐きながら答えた哀の傍に私は寄り添い、その背中をさすった。

「チームでしょ?みんながいる。」

「そうだよ〜♪」
「そうだよ!!」
「そうだよっ☆」

喜、怒、楽が各々の感情を表現しながら、哀と私に踊って見せる。

「一生懸命なのはとても素敵なことよ。でもね、あなたたち四人がバランスをとることだって大切なの。」

「…はいっ!」

哀の迷いが晴れたところで、私はダンス練習の再開を呼びかけた。

まったく…踊る喜怒哀楽には振り回されてばかりだ。でも、そんな日々が幸せってことなんだろうな。
その他
公開:24/12/24 08:48
更新:24/12/24 09:08
月の音色 カルテット

ネモフィラ(花笑みの旅人)( 気の向くまま )

読んでくれてありがとう!

寒い季節になったから、気が向いた時にふらりと立ち寄ってゆるーく投稿しています。(基本的に予約投稿)

※28日以降、年末年始はガーデンへの訪問をお休みさせて頂きます。
今年もありがとうございました、よいお年を!

 

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