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雨戸を開けると、ワサビみたいに鼻をツンと刺す冬の匂いと一緒に眩しいアササビがサァーっと差し込み、真っ暗だった私の部屋に朝がやってきた。
両手足を思いっきり広げ、お日さま色のパンケーキのような体で勢いよく空から斜めに飛び込んできたアササビは、まだ温もりの残る私のベッドの上へダイブするとヒラリン♪と仰向けになり、朝露くらいにキラキラまんまるなおめめをぱちくり輝かせながら、天井に張り付く姿見の反射した光を興味深そうに見つめている。
しばらくの間そうしていたら、眠くなってきたのだろうか?次第にアササビのまぶたも体もゆっくりとろんと溶けていき、蜂蜜みたいな陽だまりになった。とろけたアササビに私はぽふっと顔をうずめてみる。ぽかぽかという温かな鼓動と甘い太陽の香りがなんとも心地よい。

おはよう……

ぽやんと呟いた朝の挨拶は、穏やかな寝息をたてるアササビの中へ沈んでいった。…二度、寝……最、高……
ファンタジー
公開:24/12/23 20:18

ネモフィラ(花笑みの旅人)( 気の向くまま )

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