かぐやが嫌い

私はかぐやが嫌いだ。
その美しさで求婚してくる男どもに無理難題を押し付け、それを楽しむ女。帝から寵愛を向けられるもそれを袖にした。
男を何だと思っている？この世で一番偉いのは自分だと思っているのか？
私はかぐやに詰め寄った。するとこの女、自分は月からやって来た。いずれ月に帰らなくてはならない。なんて言い出した。
だから男に嫌われるような真似をしているのだと。だから嫌な自分を演じているのだと。それを聞き、余計に腹が立った。
私はかぐやの着物を剥ぎ取り、それを着た。
美しさではかぐやに引けを取らない私。かぐやに成り代わった。
月の使者も私をかぐやと勘違いし、月へと連れて帰った。不老不死となった私は悠々自適な暮らしをしている。
地上へと目を向ける。私に成り代わり、人間になったかぐやを見つけた。かぐやと結ばれ、幸せそうに笑う帝を見た。
愛する人の会心の笑みに、かぐやを嫌いになって良かったと思った。