耳掃除
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「こんにちは~」
友人に紹介された路地裏にある古本屋を訪ねたのだが、店主の姿が見当たらない。柔らかな陽光でぽやんと明るい店内は温かく、古本たちの寝息が聞こえてきそうな心地よさだ。
「…ごめんねぇ、今ちょっと手が離せなくて…。ご用ならこちらへどうぞ」
店の奥から穏やかな声が答えた。きっと店主だ。
「…おや、もっとかぃ?」
呼ばれた方へ近づいていったら、暖簾越しにまた声が聞こえた。「お邪魔します」と告げて暖簾をくぐると、耳かきを持ったおばあさんの膝の上で、甘えるようにドッグイヤーのついた古本が大の字になってページを開いていた。
「この子はたくさんお耳があるから、耳掃除が大好きでねぇ。…さぁ、おしまい」
本をぱたんと閉じると、店主はあやすように表紙をぽんぽんとした。…この人に決めた!
「うちの子もお願いできますか?」
私は鞄からドッグイヤーだらけの愛読書を取り出した。
友人に紹介された路地裏にある古本屋を訪ねたのだが、店主の姿が見当たらない。柔らかな陽光でぽやんと明るい店内は温かく、古本たちの寝息が聞こえてきそうな心地よさだ。
「…ごめんねぇ、今ちょっと手が離せなくて…。ご用ならこちらへどうぞ」
店の奥から穏やかな声が答えた。きっと店主だ。
「…おや、もっとかぃ?」
呼ばれた方へ近づいていったら、暖簾越しにまた声が聞こえた。「お邪魔します」と告げて暖簾をくぐると、耳かきを持ったおばあさんの膝の上で、甘えるようにドッグイヤーのついた古本が大の字になってページを開いていた。
「この子はたくさんお耳があるから、耳掃除が大好きでねぇ。…さぁ、おしまい」
本をぱたんと閉じると、店主はあやすように表紙をぽんぽんとした。…この人に決めた!
「うちの子もお願いできますか?」
私は鞄からドッグイヤーだらけの愛読書を取り出した。
その他
公開:24/12/16 07:12
更新:25/08/12 14:16
更新:25/08/12 14:16
読んだ人に笑顔になってもらいたいという想いから投稿し始めましたが、私の文章ではそういったものが届けられないのだろうなぁと気づかされました。
今は書こうと思うとただただ悲しくなるだけなので、もう投稿することはないかもしれません。
アカウントは残しますがこれ以降浮上することもないかと思います。
短い間でしたが今までありがとうございました!
たくさん学ばせて頂きました。
お元気で。
2025.9
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