天気を作る人

時は少し先の未来。
長い歴史の中で、「天候」に悩まされてきた人々。技術の進歩で、少しずつ天気を操れるようになりました。

とくに、その時代に活躍したのが、天気予報士ならぬ「天気予定士」です。それは、AIを搭載したロボットでした。
天気予定士は化学企業やIT企業と協力して、もとの自然の天気にちょっと細工をして、天気を作り出すのです。

ある時、天気予定士は思いました。「世間の人々の思い描く通りの天気を作ろう」
多くの人が「絵にかいたような青空」を望んでいる時は、空の色を、空中の色素の量を増やして、絵の具のような青色にしました。
「雲一つない空」を望むと、小さなドローンで水蒸気をかく乱し、雲を消したりしました。

でもある時、晴れた空にいきなり竜巻が発生！危うく大きな事故になるところでした。
理由を問われ、天気予定士は答えました。
「皆が“気持ちいい、吸い込まれそうな青空だ”といったからです」