困惑タイムマシン

0
2

五歳のとき、愛猫のフロッシーと生き別れてしまった。家のなかでくつろいでいたはずなのに、いつのまにかいなくなっていたのだ。それから何年も家族とともに探し歩いたけど、結局みつからなかった。大人になったらタイムマシンを作って、フロッシーに会いにいこうと決意したのもその頃だ。
以来わたしは定職にも就かずに研究を重ね、苦節五十年にしてついにタイムマシンを完成させるに至った。問題は燃料だ。ガソリンは販売禁止されているし、氷河期に入ったせいでソーラーシステムもあてにならない。かといって電気代も高い。代替えにできそうなものはと試した結果、思い出が燃料として使えることを知った。わたしは泣く泣く自分が幼い頃の思い出をプログラムに組み込み、タイムマシンに乗った。
フロッシーには会えたが、お前は誰だとつめたくあしらわれるし、彼女と遊んだ記憶も皆無で、なぜタイムマシンを作ることに人生をかけたのかと困惑している。
ファンタジー
公開:24/12/15 19:30

いちいおと( japan )

☆やコメントありがとうございます✨
以前のアカウントにログインできなくなってしまい、つくりなおしました。

清流の国ぎふショートショート文芸賞 入選

イラストはibisPaintを使っています。

コメントはありません

コメント投稿フォーム

違反報告連絡フォーム


お名前

違反の内容