恋心
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少年は母子家庭で育った。少年は母親をよく手伝い、母親も少年を大いに助け、その関係は良好だった。
ある日母親は少年にお遣いを頼んだ。母親は一枚のメモを少年に手渡した。少年はそれを持ってスーパーに行った。
少年はメモを広げた。そこには「恋心」とだけ書かれていた。
少年は店員にそのメモを見せた。店員は缶詰のコーナーに少年を案内した。棚の隅に、恋心の缶詰が置かれていた。
少年はそれを買って家に帰った。
少年は母親に尋ねた。
「母さん、恋をするの?」
母親は答えた。
「恋をするかもしれない」
そして続けた。
「でも私はもうとっくに恋の味を忘れてしまったし、あなたはこれから恋をするのだから、お互いに恋心を味わっておいた方がいいのよ、きっと」
その夜、母子は恋心の缶詰を味わった。
「歯を磨いて寝なさい」
とその夜母親は少年に言わなかった。
ある日母親は少年にお遣いを頼んだ。母親は一枚のメモを少年に手渡した。少年はそれを持ってスーパーに行った。
少年はメモを広げた。そこには「恋心」とだけ書かれていた。
少年は店員にそのメモを見せた。店員は缶詰のコーナーに少年を案内した。棚の隅に、恋心の缶詰が置かれていた。
少年はそれを買って家に帰った。
少年は母親に尋ねた。
「母さん、恋をするの?」
母親は答えた。
「恋をするかもしれない」
そして続けた。
「でも私はもうとっくに恋の味を忘れてしまったし、あなたはこれから恋をするのだから、お互いに恋心を味わっておいた方がいいのよ、きっと」
その夜、母子は恋心の缶詰を味わった。
「歯を磨いて寝なさい」
とその夜母親は少年に言わなかった。
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公開:24/12/14 21:25
短い読み物を書いています。その他の短編→ https://tomokotomariko.hatenablog.com/
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