聖戦

１２月２５日深夜１時。普段ならプレゼントを配っている儂は今、病院の前で愛刀を手に目を閉じ、佇んでいる。
…来たな。
そっと目を開けると病院に近付く死神の姿を確認する。
『妹の手術が成功しますように』と、良い子にお願いされてしまったからな…この命にかけても、幼子の命を奪おうとする死神を討ち取ってみせよう。
「爺さん。無理すんなよ」
生意気にもそう声をかけてきたのはダッシャー。
それにダンサー、プランサー、ヴィクセン、コメット、キューピッド、ドナーが頷く。
「援護します」
銃を構えたブリッツェン。引き金を引くとクラッカーみたく乾いた音がした。
聖なる夜、戦いの火蓋が切って落とされた。
死神の返り血でこの身は赤く染まる。
「さすがサンタクロース！」
トナカイ達が茶化してくる。
朝になれば、乾いた血が固まり、ブラックサンタになっている事だろう。
構わんさ。今宵の儂は、汚れ役を買って出たのだからな。