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クリスマス大寒波の予報に備え、地元の全住民をまじえて会議がひらかれた。そして保守地域を越えた助け合いをおこなうことになった。つまり急に現れたよそ者にも手を差し伸べるということだ。これに反対する者たちと最終的な判断をくだした幹部とのあいだには数日前から緊迫した空気が漂っていたが、今朝ついに暴動が勃発した。
リーダーの首根っこを押さえた若者のトラジは、低い唸り声を上げながら幹部を牽制した。
「お前ら結局いい顔したいだけなんだろ? 自分らが上に収まってるあいだは好き勝手できるもんなぁ?」
その時、ひときわ強い北風がびゅうびゅう吹き付けてきた。幹部とトラジ擁護派は我先にと人間が作った発泡スチロールハウスに飛び込んでゆく。リーダーはか細い声で言った。
「トラジよ。いま助け合わずにいつ助け合うんだ。野良生活は過酷だぞ。特に冬はな」
「リーダー……」
トラジは鼻水と涙をほろりとこぼし、牙を引っ込めた。
リーダーの首根っこを押さえた若者のトラジは、低い唸り声を上げながら幹部を牽制した。
「お前ら結局いい顔したいだけなんだろ? 自分らが上に収まってるあいだは好き勝手できるもんなぁ?」
その時、ひときわ強い北風がびゅうびゅう吹き付けてきた。幹部とトラジ擁護派は我先にと人間が作った発泡スチロールハウスに飛び込んでゆく。リーダーはか細い声で言った。
「トラジよ。いま助け合わずにいつ助け合うんだ。野良生活は過酷だぞ。特に冬はな」
「リーダー……」
トラジは鼻水と涙をほろりとこぼし、牙を引っ込めた。
その他
公開:24/12/20 09:42
☆やコメントありがとうございます✨
以前のアカウントにログインできなくなってしまい、つくりなおしました。
清流の国ぎふショートショート文芸賞 入選
イラストはibisPaintを使っています。
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