春暁マフラー

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はぁ〜っと吐き出した息が、白龍になって点々と星の浮かぶ冬の夜空へ昇っていく。シールみたいに頬へ貼り付いた空気はヒンヤリと冷たく、ブーツの中で凍えた爪先も窮屈そうにしているが、私の首もとでは桜が舞い、鶯が歌っている。

春暁マフラー。
冬の寒さが苦手な私にとって、もはや必須のアイテムだ。春の夜明けを思わせる群青と橙の毛糸で編まれたグラデーションの美しいマフラーで、その一つ一つの編み目からはクローゼットへしまう前に撒いておいた草花の種が芽吹き、器用にボサボサと毛糸をダマにして作った鳥たちの巣には、小さな卵が誕生の日を夢見ていくつも眠っている。
早朝に香る草花の瑞々しい匂いを放つマフラーを首もとに巻けば、冷たく長い冬の夜の帰り道だって、途端に花も目覚める春の暁に早変わりだ。柔らかな春の太陽が、まだ寝ぼけ眼の空へ昇っていくのが見える。

……あっ、もう家に着いた。
その他
公開:24/12/20 06:41

花笑みの旅人( 気の向くまま )

ページを開いてくださり、ありがとうございました♪

6月12日〜6月末まで勝手にチャレンジしていた毎日投稿を無事達成することができたので7月から夏休みに入りま〜す(⁠◍⁠•⁠ᴗ⁠•⁠◍⁠)

ガーデンでは☆を押してくださったのがどなたかわからないシステムですが、そんな中☆を押してくださった方ありがとうございました!また、リアクション等されていなくとも作品を開き読んでくださった方がいらっしゃいましたとしたら、重ねて感謝申し上げます。貴重な時間を割いていただきありがとうございました!!

もちろん、いつも楽しいコメントをくれるあなたも心からありがとう♪
では、暫くばいばいぴょ〜ん!

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