消しゴムライオン

6
5

ガオーー!!!!!

消しゴムライオンの咆哮に恐れ慄き、マス目から飛び上がった誤字たちが方眼ノートの上を逃げ惑っている。哀れなくらいに気が動転している様子の誤字たちを、消しゴムライオンは一文字たりとも逃しはしないとばかりに、消しゴムケースのたてがみを激しく風に躍らせてゴシゴシと追いまわす!
方眼ノートの端まで追い立てられ、悲鳴をあげながらノートの上から落っこちていった誤字。腰を抜かしているところを消しゴムライオン自慢の鋭い角っこにこすられ、字飛沫となって煙のように消えていった誤字。……この光景を目の当たりにすると、これ以上誤字を生み出さないようにしなければと、毎回気が引き締まる。

狩りを終え、さっきまでの雄々しさが嘘のように僕の手に頭をこすりつけてゴロゴロと甘える消しゴムライオンに「ありがとう」と言いながら撫でる。
少し削れて黒ずんだ角っこは、また後で綺麗に研いでやらないとな!
ファンタジー
公開:24/12/20 06:39
更新:24/12/20 17:34

ネモフィラ(花笑みの旅人)( 気の向くまま )

読んでくれてありがとう!

 

コメント投稿フォーム

違反報告連絡フォーム


お名前

違反の内容