What brings you to Earth？

いつもは閑散としたフードコートが、大勢の客で賑わっている。
人波の去ったハンバーガーショップのレジで、私は人知れず緊張を解いた。久しぶりに心地良く疲れている。
今日でこのショッピングセンターは閉店する。バイトとはいえ、店がなくなってしまうのは寂しい。人が来ないから閉店するのに、閉店日だからこそ賑わうのは皮肉だ。最後の記念に、なんて声も聞こえるが、何の記念よ？
「ハンバーガーセットをください」
端正な顔立ちの男性が目の前に立った。韓国人だろうか、日本語がややぎこちない。「百セット」
「ひゃく？」
私は笑顔のまま考える。本気だろうか、それともアウトなお客さんだろうか、店長に指示を仰ぐべきか……。
「百セット。仲間と、地球人の好物を食べてみようかと」
そのときだった。店の外が眩しく光り、無数のＵＦＯが音もなく降りて来た。
「地球の終わりまであと僅か。最後の記念に寄ったんですよ」