胆汁シチュー

「ねえねえ皆知ってる？うんちってね、胆汁のせいで茶色いんだって」
テレビをつけると子供向けの教育番組で若いお姉さんがそう言った。
「ほんまかいなぁ」
７つになる娘がテレビを観ながらそう呟く。そもそも胆汁なんて単語を知っているのだろうか。
「ねえお母さん、胆汁買ってきて」
「そんなん売ってへんわ」
「胆汁！胆汁！胆汁！」
「売ってへんて、やめーや」
娘はふてくされた顔でトイレへと向かった。私は晩御飯のシチューを作り終えると旦那が帰ってくるまで自室で本を読んで過ごした。
「ただいまー」
「お父さんおかえりー」
旦那と娘の声が聞こえる。
「今日はカレーか」
鍋を覗き込みながら旦那が呟いた。
「え？シチューやん」
「ビーフシチュー？」
「ちゃうわ、普通のシチューやん」
旦那がきょとんとした顔で私と鍋の中身を交互に見る。
「お父さん知ってる？うんちってね、胆汁のせいで茶色いんやって」